ドキドキの初【Brazil】。行ってみたら宿がなかったはなし
宿の予約
Brazil入りの3日前。いつものようにBooking.comで宿を探す。
探していた期間は日曜日を挟んでいて、その日曜日の空きが少なく、わずかに空きがあるところも平日の5倍はする値段。Brazilでこの価格は高すぎる。
他のサイトでも探してみることにした。
見つけたのは、Hotels.comで『イグアスにある快適な家』という名の宿。高いけどその日の最安値。この宿を予約することにした。
予約と同時に予約完了メールが送られてくる。住所のところをスクショしておいて、準備完了。
Brazil入り
日本やCanadaの知人からBrazilはマジで危ないと言われ続けてきた場所。「行くな」とも言われていた。
危険なことがなければ魅力が多い国。どうしても南米の多くを制覇したかったので観光の街「Fosdo Iguacu」を選んだ。
ArgentinaからバスでBrazil入り。
「比較的安全」と信じてバスに乗る。
バスの運転手さんの優しさに拍子抜け。宿の地図を見せると「降りるところをお知らせするよ」と優しい笑顔で言ってくれた。
バスを降りる時は男性の乗客が「僕が持つよ」という感じで何も言わず荷物を持って降ろしてくれる。
「Brazilって大丈夫な国じゃないか。すごく素敵なところだ。」
安心感と勇気が持てた。
宿がない
バス停から宿に向かって歩く。舗装が完璧ではない、少しガタガタ道の住宅街。
Hotels.comに掲載されている住所を頼りに、宿を探す。
近くに来るも、宿らしき建物が見当たらない。
とりあえず宿っぽい建物のチャイムを鳴らしてみる。
チャイムを鳴らすこと自体変なことだけど。もしかしたら民泊スタイルなのかもしれない。
おじさんが出てきた
「今日お世話になります。」
「ウチは宿なんてやってないよ。向かいの家じゃないかな?」
そんなことってある?向かいの家もどう見ても普通の民家。
丁寧にお詫びをし、教えてくれた家のチャイムを鳴らす。
今度はおばさんが出てきた。
「こちら、宿ですか?」
「ここは私の家よ。あら、あなた日本人ね。私日本語少しわかるの。」
日本語で話せるというだけで安堵感があふれてくる。でもおばさんはほとんど日本語がわからないようなのでジェスチャーとスマホを使ってなんとか話す。
「私ここの住所に今日泊まる予定なんです」
「あら、本当!?でも写真は隣の家が写っているみたいね。なんて言う名前のホテルなの?」
「あ、すみません。えっと、名前は、、(日本語で『イグアスにある快適な家』ってわかんないじゃん)」
「でも隣の家はもう長い間空き家のはずよ。ちょっと待ってて、娘を呼んでくるわ。英語ができるから、案内させるわね。」
娘さんと隣の家へ向かう。
私がこのエリアに来たときも、見るからに空き家で真っ先にここじゃないと思った家。窓は締め切ってあるし、人の気配がなく、裏庭に見える白いベンチも倒れたままになっている。でも写真に似ていた。
チャイムもないので表から叫ぶ。
「やっぱりここ空き家よ。人が出入りしているところを見たことないわ」
「そうだよね。わざわざごめんね。ありがとう。」
まさかの宿がないという事態。
Canada,Mexico,Peru,Bolivia,Chile,Argentinaと旅してきてこんなこと一度もなかった。
Brazilの予想以上の人の優しさを感じたものの、警戒心はまだ持っていたので今度は恐怖心が出てきた。
今思えば「たかが宿が無いくらいなにさ」とも思えるけど、一人ぼっちで初めての異国にいた当時はもう頭が真っ白。
宿探し
「確か、近くにホステルがあるわ。案内するね。」
絶望の中、女の子がそう声をかけてくれたので二人でそのホステルに向かう。
なんとも綺麗なホステルに歩いてすぐ到着した。
「すみません、予約取ってないんですが、今日泊めていただけますか?」
女の子がフロントの女性にポルトガル語で事情を説明してくれた。
「どういうことなの?その宿の住所と電話番号教えて」
フロントの方がネットで調べてくれた。
「こんなとこ存在しないみたい。どこで予約したの?こんなことってあるのかしら?
今日だけなら1部屋空いてるわ。泊まっていってね。」
ホームステイ
フロントの女性が手続きをしている間、女の子のスマホが鳴る。
「ウチに泊まりなさいって。お母さんが。」
「え??」
「よかったら、あなたが居たいだけ居てもいいって言ってるよ。」
さっき会ったばかりなのに。
ただ、たまたま来ちゃった外国人なだけなのに。
まさかの言葉に驚いたけど、甘えさせていただくことにした。
手続きを進めてくれていたホステルにお詫びをし、女の子と家に帰る。
ホームステイを避けて1年間ワーキングホリデーをしていたのに、ここに来て急遽ホームステイをすることになった。
贅沢な滞在
おばさんの家には今は使っていないという空室があった。
部屋にはベッドはもちろん、なんとトイレとシャワーも完備。ベランダからは裏庭プールが見える。
貧乏旅行者には贅沢すぎる部屋。行き場のない絶望からまさかのホテルのような部屋に滞在できることになった。
おばさんはレストランを営んでいる。
滞在中、2回ほどお店に遊びに行ったら御馳走してもらったり、お店が休みの日には車でChurrascoのお店や定期的に行っているというダンスパーティに連れて行ってくれた。
帰国した今は彼女たち家族をBrazilの家族のように感じている。
宿がなかったのは驚きの出来事だったけど、そのおかげで一人では経験できなかった思い出とBrazilに大好きな人々を持つことができた。
滞在中、完全に安心しきっていたBrazilだけど、こんなに危なくて私たちも行けないような地域もあるんだと動画を見せて教えてくれた。
行ったのがFos do Iguacuだったからこそ、
おばさん家族があそこに住んでいたからこそ、
あの日、あの時間に行ったからこその奇跡が重なった出来事。
良い思い出で終えられてよかった。
因みに存在しなかった宿『イグアスにある快適な家』についてはHotels.comにすぐにメールを打っておいた。
実は、私がおばさんの家にお世話になった後も何人か旅行者が家を尋ねてきたという。
関係のない人にまで迷惑をかけて、旅行者にとっても知らない土地で宿がないっていうのはなかなかしんどい事。私は運がよかっただけ。
もうこういう思いをする人が出ないようにしてほしいと願う。
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